KRIニュースレター 第56号
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《二次電池》 エネルギー変換研究部 電池評価・解析室 電池評価・解析室長 加藤 史朗 電池評価・解析室は、エネルギー変換研究部内において、特にデバイスの性能・信頼性・安全性等を向上させる要素技術に関し、材料〜部材〜セル〜モジュール〜システム〜ユーザーと上流から下流までを総合的に見据え、クライアント様の技術開発を支援しています。具体的には、情報端末向け小型電池から大型電池、蓄電システムに亘り、先進電池に関する研究、新規材料に適応した電池構造設計・プロトタイプ試作・工程開発、システム(モジュール、パック)設計、寿命・安全性評価解析、ライフサイクルコストシミュレーション等を実施しています。 技術領域 「デバイス(電池・キャパシタ)からシステム」に関する研究開発・評価解析受託、クライアント様開発支援 ●電池製品化支援:高度電池試作技術、カスタム対応(構造設計、新規工程開発、量産化技術構築) TREND:クライアント様保有特殊材料(固体電解質、新機能材料)の課題抽出、特徴明確化、改良策提案 TREND:実製品化を見据えたカスタム設計・プロトタイプ試作 TREND:セル内部反応均一性評価・シミュレーション(表面方向、断面方向:イオンと電子伝導のバランス) ●蓄電デバイスの寿命評価・解析(独自アルゴリズムによる寿命シミュレーション) TREND:温度因子・抵抗因子を考慮した寿命推定 (限界負荷特性、低温充電特性、二次劣化推定) ●セル・モジュール・パックの安全性評価・解析 TREND:独自の内部短絡模擬試験法 TREND:モジュール内熱暴走連鎖反応評価 TREND:大型電池の安全性挙動を推測 独自の小型電池系モデル試験、重要な設計因子の影響傾向解析 ●電池モジュール・パック・システム開発支援(システム・制御設計、電池基盤技術活用、特殊評価支援) TREND:システムコンセプト(仕様、環境、寿命)と電池固有特性とのマッチング(セル選定指針) TREND:ライフサイクルコストシミュレーション(材料×セル化×システム設計×「制御アルゴリズム」) TREND:システム設計支援(制御ロジック、SOH検知、インバータ・コンバータ・負荷側とのマッチング) KRIからの新規提案 ◆「より長く、より安全にリチウムイオン電池を使うには」 リチウムイオン電池が世に出て25年を経る中、エネルギー密度が数倍近く向上しているにも関わらず、大型電池の本格普及を目指す市場からは、益々の高出力化・高エネルギー化が求められています。 一方、既に普及している電池において、誤用に限らず通常の使用条件でも、二次劣化による突然の容量低下や内部短絡起因と推測される事故が発生している現実があります。 これらに対しKRIはこれからも、既存電池の改良設計や新型電池の研究開発において、「より長く、より安全に電池を使うには?」を念頭に、電池設計(内部反応均一性、安全機構)、モジュール設計(電流・温度偏在抑制、類焼防止)、制御(SOH検知、限界負荷抑制、延命アルゴリズム、事故防止)等に関し、「今後必要な技術の本質とは何か?」と、お客様と一緒に考え、語り合いながら技術を深めていきたい所存です。

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