KRIニュースレター 第50号
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14 電気化学デバイス研究室 電気化学デバイス研究室長 松田 敏彦 燃料電池は電極触媒層を反応場とするリアクターです。電気化学デバイス研究室では、燃料電池の効率と耐久性向上のために必要な形成技術および解析技術の開発を進めています。これらの技術を活かして、機能性デバイスの研究開発や機能性素材の用途開発に展開し、クライアント様の研究開発に貢献します。・電気化学アプリケーション(電解デバイス、環境浄化デバイス、センサーなど)・燃料電池 ・電極触媒開発 ・電極触媒層設計 ・PEFC部材の特性評価・多孔質材料の水分特性解析(ぬれ性、吸湿性など)◆電極触媒層調製プロセス開発 電極触媒の調製技術とMEAの解析技術を組み合わせた電極触媒層調製プロセス開発を行います。例として、 @電極触媒調製とA触媒層調製時の塗工乾燥時における解析手法を紹介します。@電極触媒調製 金属使用量を低減するため、高活性な触媒の調製を行っています。Fig.1に示す結晶子面や粒径を制御した電極触媒や、Fig.2に示すような触媒の表面積を大きくしたフレーム型の電極触媒調製が可能です。A触媒層調製プロセス時の解析 触媒インクの基材への塗工乾燥工程において発生する割れやクラック等の不具合の要因を、光学的手法により解析しています。技術のイメージをFig.3に示します。アイオノマーの凝集が起こると、アイオノマーとカーボン粒子に分かれるため、干渉縞が現れます。この干渉縞を解析することで、凝集の定量化が可能となります。◆電極触媒層の特性解析 電気化学測定技術を用いた電極触媒層の活性および粘弾性解析に取り組んでいます。従来の電極触媒単独の活性評価よりも、実際のMEAに近いサンプルの活性や物性を評価します。 Fig.4に示すような水晶振動子上に、触媒層を形成したサンプルを電気化学測定の作用極として用いることで、QCM(Quartz Crystal Microbalance)によるin-situ質量測定が可能となります。また、フローセルとの組み合わせにより、触媒活性に対する表面吸着物の影響等を、より定量的に解析することが可能となります。 またFig.5のように、触媒層を形成した水晶振動子の周波数特性のピーク周波数と半値幅から、粘弾性の情報が得られます。触媒とアイオノマーの複合膜の粘弾性特性から、吸湿特性や劣化の情報が得られます。《燃料電池》技術領域KRIからの新規提案Fig.1 結晶子面制御触媒Fig.2 高活性触媒Fig.3 光学的手法を使用したMEAでの触媒凝集の定量化Fig.4 触媒層を形成した水晶振動子と質量測定の例Fig.5 水晶振動子の周波数特性

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