KRIニュースレター 第53号
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《燃料電池》 電気化学デバイス研究室 電気化学デバイス研究室長 松田 敏彦 電気化学デバイス研究室では、燃料電池の効率と耐久性向上のために必要な技術開発を進めています。また、 これらの技術を活かして、機能性デバイスの研究開発や機能性素材の用途開発に展開しています。 技術領域 ・電極触媒開発 ・電極触媒層設計 ・電解質開発 ・PEFC部材の特性評価 ・多孔質材料の水分特性解析(ぬれ性、吸湿性など) ・カーボン材料の表面改質 KRIからの新規提案 ◆多孔質材料を利用した機能性素材の開発 多孔性材料を利用した省白金あるいは非白金触媒の開発(右図)や、高温無水条件下でのプロトン伝導性固体の開発を進めています。ターゲットとする素材により、多孔性や伝導性、親疎水性など求められる特性は様々です。これまでに培った知見を活用したボトムアップでの素材調製技術により、お客様のご要望の特性を備える素材の開発に貢献します。 水素発生反応活性 表面修飾電極触媒のイメージ図 ◆触媒表面修飾による高活性電極触媒の開発 表面修飾により機能性を有した高活性電極触媒の開発を進めています。触媒表面に有機物を修飾することで、親水性、分散性、耐久性、酸素還元性などの様々な機能向上を持たせることが可能です。これらの知見や調製技術を基に、お客様のご要望に沿った電極触媒の開発をご提案します。 多孔性高密度触媒のイメージ図 酸素還元反応活性 ◆電極触媒層の粘弾性解析 電極触媒層を成膜した水晶振動子電極の周波数特性を解析することにより、電気化学特性に加えて、電極触媒層の粘弾性が評価できます。右図にアイオノマーを含んだ触媒層を異なる環境にさらした際の周波数特性を示します。得られた波形のピーク周波数と半値幅を用いることで貯蔵弾性率[G’]、損失弾性率[G”]の変化がわかります。電極触媒層の吸水特性等の定量化が可能です。 周波数特性 粘弾性変化 ◆電極触媒層調製プロセスの光学的解析 電極触媒層インクの基材への塗工乾燥工程を光学的手法で解析することにより、電極触媒層に発生する割れやクラック等の要因を評価できます。触媒層内でバインダー(アイオノマー)の凝集が起こると、バインダーとカーボン粒子に分かれるため、干渉縞が現れます。この干渉縞を解析することで、凝集の定量化が可能です。 カーボン担体が異なる場合の乾燥過程の様子
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