KRIニュースレター 第59号
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 [KRIからの新規提案] ◆アンモニア貯蔵・供給システムの開発 当部では、予てよりアンモニアを燃料として使用するSOFCシステムに着目し、300W級のアンモニア直接供給型のSOFCシステムの設計/試作/性能確認を行いました。しかし、アンモニアの刺激臭・有毒性といった特性が商品化の妨げになることから、アンモニアを安全に『貯蔵・供給』するシステムの開発も並行して進めています。 アンモニアは液体でタンクに充填する方法が一般的ですが、我々はアンモニアの漏えいの被害を最小限に抑えることを前提に、常温常圧でアンモニアを貯蔵可能であるアンミン錯体に着目しました。固体で無臭といった特徴を持つ塩化ニッケルアンミン錯体(図2 )等の金属ハロゲン化合物アンミン錯体に関して、アンモニア含有量が高い貯蔵が可能であるとの知見を得て、下記①、②に示す応用展開と技術開発に取り組んでいます。 ① アンミン錯体をアンモニア燃料の貯蔵・供給媒体として活用し、温度制御により配位・脱離反応をコントロールする安全なタンクシステム(図3 ) ② アンミン錯体の低いアンモニア蒸気圧を利用した気体中の低濃度アンモニア除去システム  (直接アンモニア燃料電池のオフガス処理を想定) このような知見と実績に基づき、アンモニアの貯蔵やスタック・ホットモジュールの開発からシステム機の試作まで幅広いステージでの開発を受託致します。 図3  アンモニア貯蔵・供給システムを用いた直接アンモニア燃料電池への応用展開 ◆単セルの性能診断及び耐久試験 小型単セルから実機を想定した大面積電極の大型単セルの評価を受託します。特に、小型単セル向けの評価装置については約30台(図4 )を保有しています。このうち全自動運転に対応した評価装置では、FCVで要求される所定の運転モードに応じた性能診断を組み合わせて24時間連続運転が可能です(図5 )。また、数ヶ月を超える長期耐久試験や、装置のカスタマイズによりご要望の特殊試験にも対応致します。 当部では、豊富なガスインフラ設備、評価装置群を活かして標準的な性能診断から実運転を模擬した加速試験や耐久試験まで効率よく実施し、多様な試験条件の評価結果をクライアント様に迅速にフィードバック致します。 図4  単セル評価装置“群” と装置仕様 図5  自動車走行モードを模擬した自動評価試験 例

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