KRIニュースレター 第59号
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《燃料電池》14電気化学デバイス研究室 電気化学デバイス研究室長 松田 敏彦 電気化学デバイス研究室では、燃料電池の効率と耐久性向上のために必要な技術開発を進めています。また、これらの技術を活かして、機能性材料や薄膜材料デバイスの研究開発に展開しています。 [技術領域] ・電極触媒開発 ・カーボン材料の表面改質 ・電極触媒層設計 ・PEFC部材の特性評価 ・塗膜の粘弾性解析 ・塗膜の偏光解析 ・多孔質材料の水分特性解析 ・有機半導体材料設計及び合成 ・有機薄膜デバイス開発 ・薄膜エレクトロニクスデバイス特性評価 [KRIからの新規提案] ◆酵素活性中心を模擬した非白金電極触媒の開発 酵素活性中心は多数の活性点の連動により、基質選択性の高い効率的触媒反応を実現していますが、その活性中心密度は低く、用いることのできる環境も限られています。精密有機合成技術を基盤とする右記2 つの保有技術による、酵素活性中心を模擬した新規な非白金電極触媒の開発を提案します。 酵素模擬触媒の開発スキーム ◆高活性且つ高耐久性Pt電極触媒の開発 電極触媒の酸素還元活性に影響を及ぼす触媒の構造を制御する観点から、高活性且つ高耐久性を持つ触媒の開発を進めています。構造化等によりPtの利用率を高める電極触媒の開発を提案します。 調製したナノポーラス触媒のTEM像と構造イメージ ◆触媒インク乾燥時の粘弾性解析 物質の硬さ、柔らかさを表す指標として粘弾性が様々な分野で用いられています。塗膜状の電極触媒層の場合、粘弾性はバインダーとして用いられているアイオノマーや触媒の担体であるカーボンの影響を受けます。水晶振動子マイクロバランスを用いて触媒層インク乾燥の粘弾性を解析することにより、乾燥中の凝集状態などが数値化でき、塗膜の割れの改善に使用できます。 インク乾燥中の弾性、粘性変化 ◆光学的手法を用いたMEAの劣化解析 発電において、乾湿状態が繰り返し起こると、アイオノマーがある方向に引っ張られ、高分子鎖が配向します。このような現象が起こったMEA内部の状態を、光学的手法である偏光分光を用いて解析することができます。 電解質膜の偏光分光イメージ ◆薄膜エレクトロニクスデバイスの開発 有機半導体材料の光電気特性を活用した薄膜エレクトロニクスデバイス(太陽電池、化学センサー等)の開発に取り組んでいます。材料設計から合成・デバイス化・デバイス特性評価まで、お客様のさまざまな開発ステージにおいてサポートします。 材料設計とデバイス作製のイメージ
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