KRIニュースレター 第59号
3/20

 GREETING ご挨拶 株式会社KRI 代表取締役社長 田畑 健 リーマンショックから10年が経ち、日本の産業界もようやく立ち直りつつあると実感できるようになってきました。企業業績は全般的には好調で、今期も5年連続最高益を予想するアナリストがほとんどです。とりわけ、電機業界の業績回復は、日本のモノづくりに携わる者にとって、自信を取り戻すきっかけとなる朗報と言えるのではないでしょうか。 一方で、巷では、IoTに代表される第4次産業革命、AIの社会実装、シェアエコノミーの進展により、これから産業構造が大きく転換していくことが騒がれています。日本のモノづくりの競争力は、もともと摺合せ品質の高さにあったと私は思いますが、AV機器などでは、デジタル化に伴い、モジュールの組み合わせで最終製品の品質が担保できるようになり、新興国に市場を奪われてしまいました。今起こりつつある第4 次産業革命では、あらゆるリアル空間の情報をデジタル化してしまおうという動きと捉えることもでき、デジタル機器に限らず「摺合せ」の余地を根こそぎ摘み取ってしまう、日本のモノづくりにとっては脅威の革命と言えるかもしれません。しかし、一方で、人間の感性はデジタルではなく、同じ情報に対する反応も一様ではありません。人間はデジタル信号をそのまま受信できるわけではなく、必ずアナログ信号に変換して五感を通じて感じ取れるようにする必要があり、そこに、デジタル化だけでは解決できない、日本のモノづくりの競争力を復活させるカギがあるのではないかと思っています。 KRIは、オープンイノベーションの受け皿としての性格も持ち合わせていますが、「厳格な秘密保持」と「成果はお客様のもの」という二つの原則から、完全にインハウスと同じ条件で研究開発を肩代わりできる受託研究機関です。産業構造が大きく変わって行く中で、次の一手のためのR&Dリソースが社内にないというお客様に、ぜひともInnovation Partnerとして、お役に立っていきたいと考えています。 KRIニュースレター第59号では、今年度の組織と新技術の提案をご紹介します。今年も昨年と大きく組織が変わっているわけではありませんが、今後、皆様のニーズに的確にお応えできるよう、組織の変革を進めていく予定です。また、KRIの情報発信・皆様からのお問い合わせの対応方法についても、刷新していくべく現在検討中です。本冊子は年3回発行しておりますが、紙面の関係上お届けできる情報量は限られており、また、情報の鮮度もすぐに劣化してしまいます。また、お目に留まった情報について、さらに詳細に知ろうとしても、一手間がかかってしまいます。そこで、ITを活用し、最新の技術情報をできるだけタイムリーに、きめ細かく発信していくと共に、皆様がお求めの情報を簡単に、迅速にご提供できるようにしていく考えです。具体化にはまだ少し時間がかかりますが、紙媒体とITベースのベストミックスにより、皆様のお困りごとに的確に応えていける体制を整えていきますので、どうぞご期待ください。 KRIは、昨年創立30周年を迎え、今年は、次の30年に向けて新たなスタートを切りました。これからも、産業技術の発展と技術革新に貢献していきたいと思っておりますので、今後とも、より一層のご愛顧をよろしくお願いいたします。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る