KRIニュースレター 第59号
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《環境・エネルギー材料》エネルギー材料研究部 エネルギー材料研究部長 福井 俊巳  エネルギー材料研究部では、「環境・エネルギー」に加え「高齢化」「自動化」「IoT技術」を次世代社会構築のための重要なキーワードとして研究・開発を実施します。蓄電・発電・熱関連デバイス、エネルギー貯蔵などのエネルギーデバイスの特性・効率向上を目的とし、有機・高分子・ゾル-ゲル・ハイブリッド技術を中心とした合成技術、高度な分析・解析技術を駆使して材料側からアプローチします。機能発現に重要なインパクトを有する形状制御、微細構造制御されたキー材料の開発を手がけています。また、医療機器・バイオ関連・ヘルスケア関連材料への各種保有技術の適用による展開を推進します。 [技術領域] ・ケイ素関連材料技術(PSQなど) ・ナノ粒子形成技術 ・有機─無機ハイブリッド関連技術(複合化技術)・ 電池関連材料技術 ・摺動、摩擦関連材料技術 ・熱関連技術(熱電変換・蓄熱・断熱・伝熱) ・分析、解析技術・ 水素貯蔵、発生材料技術 ・材料、デバイス劣化解析技術 ・光学材料関連技術 ・電気・電子関連材料技術 [KRIからの新規提案] ◆ウェアラブル熱電変換デバイス 熱電変換デバイスは、体温発電や人体冷却、或いは体温センシング等の機能を有しており、ウェアラブルデバイス開発にとって重要な要素技術の一つです。KRIでは、独自開発したナノ粒子インクを用い、印刷プロセスによるフレキシブルな熱電変換デバイスの開発に取り組んでおり、クライアント様の要望に応じた各種形態の熱電変換デバイス開発を実施します。 図 ウェアラブル用を想定したファブリック型素子の概念図 ◆新規なフッ素フリー滑落性撥水撥油材料の開発 一般的に固体表面への液体の濡れ性について、主に静的接触角によって評価されてきましたが、近年、液滴の弾く性能ではなく除去性能を重要視する傾向が強まり動的挙動が注目されています。KRIでは、動的挙動に優れたフッ素フリー・長鎖アルキルフリーの撥水撥油材料の開発を行いました。表面に規則性のあるメチル基を配列することにより、滑落性能が水(22°)・油(17°)ともに非常に優れており、主成分がSi-Oであることで従来の有機膜より耐熱性・耐光性に優れた膜が得られました。 図 シラン系滑落膜のイメージ ◆シランカップリング剤改質表面/シリカ表面の評価  シランカップリング剤の処理効果を十分に発揮するためには、自己縮合を抑制し、被覆率高く表面に導入する必要があります。29Si-NMR、IR、Raman、TG/MS等の機器分析により改質層の構造解析を行うと共に、処理効果UPのための方策を提案します。また、被処理面の官能基量の分析も行っています。 図 シランカップリング剤の改質層イメージ

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