KRIニュースレター 第59号
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《環境・エネルギー材料》フェロ&ピコシステム研究部 フェロ&ピコシステム研究部長 藤井 泰久 フェロ&ピコシステム研究部では、MEMS&磁気工学を基盤技術とし、冷却や熱輸送などの熱マネジメント領域、振動発電や熱電発電などの創エネルギー領域、ウエアラブルセンサや健康スクリーニングなどのヘルスケア領域のデバイスの研究・開発に取り組んでおります。また、磁石材料特性評価&解析、磁石市場&技術調査、MEMS微細加工全般等、皆様のご要望に応じてきめ細かく対応しております。 [技術領域] ・各種センサー(匂い、脈波、唾液) ・健康・医療センシング(非侵襲計測、バイオチップ) ・熱輸送・冷却(磁性流体方式、ポンプ方式) ・エネルギーハーベスティング(電磁、圧電、熱) ・人工筋肉 (磁歪、形状記憶合金、誘電材料) ・新規磁石材料 ・磁気測定 ・磁気物性とメカニズム解析 ・磁気分離 ・磁気粘弾性体 ・液体磁石 [KRIからの新規提案] ◆マイクロ流体チップによる唾液中バイオマーカーの測定デバイス開発 マイクロ流体チップは微小空間内で検体・試薬の計量、混合といった化学反応処理が可能なため、従来技術に比べて小型化に有利なシステムです。また流路を並列させることで、多検体処理や複数種のバイオマーカーの同時測定も可能です。一般的に光学的な検出が用いられますが、唾液中のバイオマーカー濃度は血中よりも低い傾向にあるため、より高感度な磁気を用いた検出システムも検討中です。 ◆生体ガス(呼気・皮膚ガス)センサの開発 近年、呼気または皮膚表面からの揮発性成分が様々な疾患の指標となることがわかってきています。生体ガスは上述の唾液よりさらに成分濃度が低く、また他のガス成分の妨害を受けやすいためそれらを克服するシステムが必要になります。KRI保有技術であるQCM(水晶振動子マイクロバランス)は小型でアレイ化が容易であるため多成分系の解析に有利なシステムです。さらにガス成分を吸着する膜設計の自由度が高く、標的成分に応じた設計による吸着特異性向上により、他のシステムと差別化できます。 ◆ウェアラブル脈波センサ(血圧モニタリング計)の開発 脈波を計測することで、血圧や、血管硬さ、睡眠の質を評価することができます。現在、ウェアラブルでリアルタイムモニタリングできるシステムが望まれています。その実現のために圧電素子とエラストマーを組み合わせた貼付タイプの脈波センサを開発し、これまでに本デバイスで脈波と血圧の相関データを取得し、良好な結果が得られています。 (兵庫県立大学との共同研究成果)
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