KRIニュースレター 第59号
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新機能性材料研究部 新機能性材料研究部長 佐藤 正洋  新機能材料研究部では、有機合成技術、高分子合成技術(リビング重合、グラフト重合等)、有機および無機ナノ粒子合成技術、分散技術および成形加工技術等をベースに、各種機能性材料等の開発を行っています。主に自主研究に基づく提案型プロジェクトを通してクライアントの方々の研究開発の支援を行っています。 [技術領域] ・有機合成技術 ・高分子合成技術(リビング、グラフト重合、重合結晶化、固相重合) ・ナノ粒子合成技術  ・マイクロ/ナノカプセル化技術  ・表面修飾(撥水・撥油、親水、防曇)技術 ・ナノコンポジット化技術   ・成形加工技術   ・分散(有機材料、無機材料、炭素材料)技術 ・分離精製技術 ・統計的手法による物性予測(屈折率、SP値等) [KRIからの新規提案] ◆酸化グラフェンを用いた窒化ホウ素の表面処理  酸化グラフェンが窒化ホウ素粒子表面に吸着しやすい性質を利用して窒化ホウ素表面を改質する技術を開発しました。本技術によると、酸化グラフェンの吸着によって、不活性な窒化ホウ素表面に炭素成分と極性基が導入されるため、窒化ホウ素と樹脂との界面親和性が改善されます。この表面改質により、熱伝導率が窒化ホウ素単独では約20%、他の熱伝導性粒子を併用した場合は約60%向上することを確認しました。酸化グラフェン分散液に窒化ホウ素を混ぜるだけという簡単な処理方法と、酸化グラフェンの量産化が現実的となった現在、コスト面でも検討価値のある表面改質方法と考えられます。 酸化グラフェンが付着した窒化ホウ素のSEM写真 ◆熱伝導性ポリイミド微粒子の開発  分子鎖が厚み方向に配向した板状の高結晶・高配向性ポリイミド微粒子を簡便に調製する方法を開発しました。本微粒子は、その構造的な特徴ゆえに、微粒子の厚み方向に高い熱伝導性を示すことが期待されます。熱伝導微粒子として応用検討を行った結果、最近では板厚みを大きくすることで、5 W/m・K程度の高い熱伝導性が付与可能であることが分かりました(50Vol%添加)。高分子微粒子であることから、軽量且つ絶縁性を担保可能な熱伝導微粒子としての利用が期待されます。 厚みの異なる高結晶性ポリイミド微粒子(左:従来厚み、右:厚みを増大) ◆高耐久性超親水化剤(防曇剤)の開発  化学的に安定で高耐久性超親水化剤(防曇剤)による表面改質技術の開発。表面の親水性(濡れ性)の向上や防曇性の付与を行うことが可能なシリカ系及びシランカップリング剤系超親水コーティング剤です。メガネレンズへの防曇性付与やプラスチック(PP、PC、PET、PDMS、COP等)への親水性(防曇性)付与が可能です。上記特性のほか、マイクロ流路(PDMS製流路等)における水の流動性向上が可能です。 (未処理)(防曇処理済)水蒸気による防曇性試験

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