
研究者のクロストーク
新天地で活躍する
研究者たちの本音座談会
異業種からKRIへ――転職を決めた理由や入社後に感じたギャップ、
専門外の仕事への挑戦など、3人の研究者がリアルな経験と成長を
等身大の言葉で伝えます。
Profile
社員プロフィール

樋口 太捷
- 新エネルギーシステム開発部
- システム開発室
2023年入社

菊地 哲
- スマートマテリアル研究センター
- 分子工学研究室
2022年入社

伊藤 輝志
- 水素デバイス研究部
- デバイス機能研究室
2023年入社

Theme01
研究者としての転職。新天地で活躍する3人が語る、
前職のキャリアと現在の仕事
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樋口 -
前職は機械設計で、自動車関連のステアリングやトランスミッションの部品を設計していました。化学や電気とは全く関係のない分野です。現在は、新エネルギーシステム開発部で、燃料電池や水電解などカーボンニュートラル関連、水素関連の研究開発と評価を行っています。
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菊地 -
私は医療機器メーカーで研究開発を担当していました。医療機器に搭載する分析用チップに使う試薬の開発がメインです。デバイス本体ではなく、中身の開発ですね。現在は、スマートマテリアル研究センターで材料開発をメインに担当しています。最近は半導体材料やフッ素フリー材料など、分子レベルの材料開発が多くて、常に3〜4件の案件を掛け持ちで進めています。お客様は自動車・半導体・医療機器業界などさまざまですが、最近はPFAS規制の影響もあってフッ素フリー材料の代替を求めるお客様も増えています。
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伊藤 -
私はヘアスプレーやラッカー塗料のスプレーなど、エアゾール製品の商品開発をしていました。現在は水素デバイスプロセス研究部で、燃料電池や水電解、部材の評価を行っています。部署は違いますが、樋口さんのところと業務は似ていますね。
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樋口 -
もともと同じ部署だったと聞いたことがありますよ。

Theme02
理想の研究環境を求めて――入社前の
期待と決断の決め手になった最大の理由
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樋口 -
実は私、機械設計の派遣としてここで働いていたことがあるんです。そのとき、研究員の皆さんが新規顧客開拓の技術提案から研究の最後まで関わっているところを見て、面白そうだなと思いました。
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伊藤 -
ということは、他の企業のご経験もたくさんあるということですか?
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樋口 -
たくさんというわけではないけれど、いわゆる大企業と呼ばれるところで働いたこともあります。ただ、大企業ならではの分業制が自分には合わず、できるだけ幅広く、いろいろなことに関わりたいと思うようになりました。化学や電気の知識はなかったものの、ここであれば周りにその道のプロがたくさんいるので、学びながら成長していけると感じました。派遣の立場から見て、社員になってもやっていけそうだと思えたことは大きかったですね。
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菊地 -
私はもともと研究をやっていたのですが、経験を重ねるごとに開発寄りのフェーズに変わり、マネジメント業務も増えて、徐々に現場の研究から離れていく感じになったんです。でも、自分としては研究がやりたかった。それが一番の理由です。
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伊藤 -
新しい環境に期待していたことはありますか?
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菊地 -
人事制度の仕組みですね。KRIはお客様に対してどういう価値を生み出したかが評価の軸になっています。メーカーでは評価が曖昧で、たまたま新しい製品が出る部署に配属された人が評価されるといったことも起こります。自分に成果が出せるのかという不安や怖さがなかったわけではありませんが、それ以上に、楽しみや期待感の方が大きかったですね。あとは、自主研究のシステムも魅力でした。
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伊藤 -
私は前職がニッチな業界だったので、自分の未来を大きく変えたい、広げたいと思って異なる業界を希望しました。それで、これから伸びていきそうだと思ったエネルギー系に注目したのですが、未経験で採用してくれるところがなかなかなくて。
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樋口 -
その点、KRIは専門だけではなくポテンシャルも見ますからね。
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伊藤 -
そうなんです。これは入社してからわかったことですが、エアゾール製品の開発で使っていた高圧ガスを、今の業務でも結構使うことがあって、そこは前職での経験が生かせていると思います。

Theme03
入社後に体感した予期せぬ苦難と
探究の楽しさ。
研究者として感じる現場のリアル
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樋口 -
まず、仕事をスタートさせることの難しさを感じました。異分野からの入社だったため、当初は業界特有の知識や前提をキャッチアップする必要がありました。一方で、お客様は専門家として期待してご相談くださるので、そのギャップに戸惑うこともありました。
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菊地 -
それは難しい……。お客様の期待ももっともなことですしね。
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樋口 -
はい。ですから、ですから最初の頃は、限られた知識の中で仮説を立てながら、できるだけ丁寧にお話を伺い、対話を重ねる時期が続きました。正直、お客様の反応から「まだ十分に伝えきれていないな」と感じることもありましたね。ただ、幸いにも多くは検討段階での技術相談が中心だったため、その後の社内検討などにつなげることができ、結果的に大きなトラブルになることはありませんでした。もちろん、対応力不足でチャンスを逃してしまったことはあったと思いますが、その経験が今の自分のベースになっています。
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菊地 -
私は前段でも述べた通り、成果ベースの評価に不安を感じることもありましたが、実際は何も問題なかったし、想像していた以上に楽しいですね。KRIの場合、完成したものがすべてではなくて、そこに至る提案の過程が大切で、そこが評価されますから。
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伊藤 -
結果として、期待されていたものにならない、完成しないということもありますか?
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菊地 -
もちろんあります。でも、なぜできなかったのか考察をして、それをお客様に納得していただければ、それも成果です。だから、お客様とのやり取りも多くなるし、コミュニケーション力が必要なんです。コミュニケーション力は社内でも必要です。自分の知識や経験だけでは足りなくて、さまざまな分野の専門家に相談して一緒に考えてもらわなければ進まないことも多々ありますから。ただ、自主研究については、思うように時間が取れず、限られた中での取り組みになっています。当然と言えば当然ですが、やはりお客様案件が最優先ですから。
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伊藤 -
私は高圧ガスの取り扱い技術が思いがけなく役に立ったことが、良い意味で想像と違ったことですね。あと、前職は一人で完結できる仕事が多かったのですが、KRIは異なる分野のスペシャリストと連携してチームでやる仕事が多い。そういう経験があまりなかったので、単純にいいな、楽しいなと思いました。
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樋口 -
チームで進めることにプレッシャーはないですか?
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伊藤 -
全くないとは言えないですね。私は評価の部分を担当することが多いので、工程としてはだいぶ後ろの方ですが、それでも自分の仕事が遅れると次の人も遅れますから。評価の結果次第では改良の提案をすることもありますが、そういうことも以前の仕事ではなかったことですね。

Theme04
試行錯誤の連続で挑む未知なる領域。
研究者としての自信と成長を刻む確かな歩み
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伊藤 -
入社して半年ほど経った頃、チームで取り組む大きなプロジェクトを経験しました。このプロジェクトでは、「こういう性能を出したい」というゴールだけが示され、その達成に向けて改良を重ねていくというものでした。デバイスの核となる構造設計を行い、評価し、改良する、という工程をひたすら繰り返すのですが、当時は自分から積極的に提案できるような知識や経験はまだなく、プロジェクトを通して多くを学ばせてもらいました。
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樋口 -
その経験をしたことで何かが変わったとか、何かを得たというようなことはありましたか?
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伊藤 -
すべての結果に対して、なぜそうなったかを考えるようになりました。うまくいってもいかなくても、その要因をきちんと突き詰めて考える。自分なりに考えて仮説を持って結果を見るのと、ただ結果を受け取るだけとでは、やはり差があると思います。うまくいったから良かった、で終わらせず、なぜうまくいったのかまで理解していなければ、それを別のテーマで応用することはできませんから。
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樋口 -
私も入社してまだ間もない頃、開発系のプロジェクトに参加しました。実機を作ってデータを取っていたら、いきなりシミュレーションと近い値が出たんです。普通ならそうしたことはあまり考えにくく、ほとんど起こらないことです。
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菊地 -
最初に出たというのはすごいですね。
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樋口 -
もちろん条件がうまく噛み合った面も大きいのですが、最初にそういうことがあったので、スタートで良い感触を掴めたというか、自分の技術に少しは自信を持っていいのかなと思うことができました。
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菊地 -
手を挙げればいろんな仕事に関わることができるので、専門外のことも経験もできるのが面白いですね。今は8割〜9割は専門性と関係のない案件で、もはやほとんどが挑戦です。
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伊藤 -
それは意外です。
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菊地 -
専門性やバックグラウンドはある意味、自分の強みです。でも、それが必ずしも業務とイコールになっているわけではありません。私はそれが嫌なのではなく、むしろ専門外のことや新しいことをやっていきたいし、実際、楽しくできています。部署内には、それぞれの強みを記したメンバーの自己紹介資料があるので、それを見て相談に行くこともありますよ。

Theme05
専門家との共創が生むスピード感。部門を超えた密な連携が研究を前に進める
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菊地 -
私が思うKRIの魅力は、さまざまなテーマに関わりながら、社内にいる各分野のプロフェッショナルと日常的に議論できる点です。一人で完結させるのではなく、専門性を持ち寄って研究を進められるので、結果として視野が広がり、理解も深まっていきます。私自身、解析を専門とする解析研究センターの研究員によく相談するのですが、話を聞くたびに「こんな測定・解析のアプローチがあるのか」と、新しい気づきを得られ、とても刺激になります。
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樋口 -
自分がわからなくても誰かに聞けば答えが見つかる、そんな環境がいいですよね。小回りがきき、柔軟に物事を進められることもKRIの魅力だと思います。
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伊藤 -
小回りがきくというのは?
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樋口 -
大きな企業では、何かを決めたり物事を前に進めるとき、どうしても時間がかかってしまいます。その点、KRIでは意思決定に関わる人との距離が近く、必要な相談や判断をその場で進められる環境なので、何事も早く進みます。承認を得るために上の人を探し回ったり、その間に実験や研究が止まることがないので、スムーズですね。
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菊地 -
なるほど。それも小回りのきく組織だからこそできるコミュニケーションの一つですね。

Theme06
プロとしてさらなる高みへ。自身の強みを研ぎ澄まし、新たな価値をつくりだす
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樋口 -
アンモニアのエネルギー利用にチャレンジしてみたいと思っています。脱炭素燃料として昨今、アンモニアが注目される機会は増えていますが、その割にエンドユーザー側の視点での研究はまだ十分に進んでいない印象があります。
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伊藤 -
これから伸びていく分野ではありますよね。
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樋口 -
そうですね。だからこそ、私たちが早い段階から研究に取り組み、知見を蓄積していくことで、「KRIはアンモニア分野に強い」と認識いただけるようになると思っています。その結果、新たな研究相談や依頼につながる可能性だって十分考えられます。現在は、評価業務の依頼が多いのですが、今後はもう一段先の開発フェーズにも関われるようになりたいですね。私自身、機械設計の経験もあるので、分野を横断しながら貢献できる場面は多いと思っています。
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菊地 -
私はもともと人を巻き込みながら何かをやっていくのが好きなので、これまでと同じように、周りを巻き込みながら多くのことにチャレンジしていきたいと思っています。また、CSR活動として、たとえば、ワークショップを通じて子どもたちに科学の面白さを伝えるような取り組みにも関わっていきたいですね。
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樋口 -
それは面白そうですね。
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菊地 -
実際に、KRP(京都リサーチパーク)で同様の活動をされている方がいて、昨年から一緒に取り組み始めました。自主研究も進めていきたいですし、やりたいことは尽きませんね(笑)
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伊藤 -
先ほど、菊地さんが、必ずしも専門性をそのまま生かせる仕事ばかりではないというお話をされていましたが、より深い研究や提案をしていくためにはやはり専門性は欠かせないと感じています。現時点では、私の専門性というと、高圧ガスの取り扱いや大学時代に学んだバイオ分野の知識ですが、そうした強みを生かした仕事にも、今後さらに取り組んでいきたいですね。
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菊地 -
KRIにいる以上、何かしらの分野のプロフェッショナルでありたいですよね。
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伊藤 -
はい。日々の業務の中で新しいことに触れる機会も多いので、アンテナを広げて、その中で自分の強みとして磨ける領域を見つけ、深めていきたいと思っています。

Theme07
あなたの「できる」をKRIの力に。主体的に突き進み、新たな未来を切り拓こう。
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伊藤 -
私から伝えたいのは、自分のどこが評価されて採用につながるか自分では意外とわからないものなので、得意なことやこれまで取り組んできたことはできるだけ具体的に伝えてみてください、ということですね。今振り返ると、私の場合は仕事に対する柔軟性や状況に応じて対応できる点が評価されたのかもしれません。
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樋口 -
確かにKRIには「研究一筋で専門性だけを突き詰める」というタイプの人は、実はあまり多くありませんね。皆、それぞれにコミュニケーションを取りながら、お客様の課題を汲み取り、周囲のメンバーの力を借りながら案件を形にしています。
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伊藤 -
そうですね。では、私の場合も、器用さや柔軟さがKRIにフィットしたのだと思うことにします。
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樋口 -
私からは、基本的なスキルと意欲があれば、必ずしも関連業界での経験がなくても問題ない、ということを伝えたいです。ただ、新卒のように手取り足取り教えてもらえる環境ではありません。自ら聞く姿勢と前向きに学んでいく姿勢は必要だと思います。
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菊地 -
樋口さんのお話にも通じますが、自ら能動的に動けることが大切だと思います。待っていても何も出てきませんし、成果にもつながりません。必要なのは、積極性、協調性、そして自己マネジメント力。それがあれば、これほど快適に仕事ができる環境は他にないと思います。







