光透過性を有する熱伝導性樹脂

光透過性と熱伝導性を兼ね備えた溶融成形可能な樹脂を開発しました
LED照明やディスプレー等の放熱部材として有用です

目的・背景

●樹脂に熱伝導性を付与するためには、高熱伝導性のフィラー(カーボン系や窒化ホウ素など)を添加しますが、光の透過性は損なわれてしまいます
●KRIでは、樹脂の光透過性を損なわずに熱伝導性を付与する技術を開発中です

本技術の特徴

熱伝導性を高めるためにはフィラーを高濃度に添加する必要があり、その上で、可視光線を透過するために、フィラーの大きさを光の波長と同じくらいにしたミー散乱領域で材料を設計・作製しました

1.光透過性の向上
  ・樹脂と無機フィラーの屈折率差を小さくすることで 光透過性が向上しましたが、熱伝導性を高めるためにフィラーの添加量を増やすと光透過性が低下

  ・フィラーの粒径アップし、前方散乱を増やすことで、 光透過性を向上⇒0.83W/mK、透過率88%を達成(図1)

2.熱伝導パスの形成
  ・フィラーどうしの界面を少なくし、かつパスを形成す るために、粒径小と大のものを組み合わせた結果、 熱伝導率が向上することを見いだしました(図2)
      【関連する学会発表】
      ポリマー材料フォーラム2015年11月26日

KRIからのご提案/今後の展開/期待される成果など

●KRIのフィラー設計・合成技術と樹脂への分散技術を駆使し、各種機能材料の開発をお手伝いします
●本研究で得られた知見をもとに、更なる光透過性の向上と熱伝導性の向上を狙います。また、ヘーズを低減した透明な熱伝導性樹脂の開発を目指します
●LED照明のカバー材や発光部周辺部材、ディスプレー周辺部材、電子機器のケースや壁材など、光透過性が要求され、熱の問題がある箇所へ活用できます

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スマートマテリアル研究センター