京都大学名誉教授・ナノハブ拠点特任教授/
(公財)京都市成長産業センター長・京都市桂イノベーションセンター長
平尾 一之(ひらお かずゆき)
KRIは我が国初めての総合的受託研究機関であり、素晴らしい研究経歴を有した方々が多数在籍されている。特に、蓄電池をはじめとするエネルギー関連技術やナノ材料技術、デバイス作製技術、バイオ関連技術の研究者とはこれまで親交があるが、長い経験や豊富なノウハウにより様々な合成や解析技術、さらにはこれまでに培ってきた多くのネットワークを駆使してクライアントへの要望に応え、適確なソリューションを提供していると常日頃感じている。
一例を挙げさせていただくとすると、我々はフェムト秒というほんのわずかの極短時間に高強度のエネルギーを照射できるレーザー開発を行ってきたが、その技術をダイヤモンドやSiCなど様々な難加工性材料の切断応用に利用しようと当時考えた。その際に加工面の品質を十分に仕上げるためにレーザーの照射条件の工夫を様々に行い、その切断面の形状や元素マッピングをナノレベルで調べる必要があった。そこで、分析技術においても定評のあったKRIに依頼したところ、FIB(集束イオンビーム)、顕微ラマン、3DのX線解析、TOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)など最先端装置を駆使して解析を行っていただき、その結果、最適条件を決定することができた。これらの成果はその後のパワー半導体製造に役立っている。この例をはじめとして多くの寄与をしていただき今も感謝している。