窒化アルミニウム粒子表面を酸化グラフェンで保護することにより、その耐水性を大幅に改善することに成功した。
目的・背景
●電子・通信機器の小型化やLED照明機器の高性能化に伴って、発生する熱を効率よく放熱する重要性が高まり、成形加工しやすい高熱伝導性ポリマー/熱伝導性フィラー複合材料の開発が進められている。近年、熱伝導性フィラーとして、アルミナ(30W・m-1・K-1前後)よりも熱伝導性の高い窒化アルミニウム(150W・m-1・K-1前後)が注目されている。
●窒化アルミニウムは、水分との接触で加水分解を起こし、熱伝導性の無い水酸化アルミニウムと腐食性のアンモニアを生成しやすい問題があり、実用において耐水性の向上が求められている。
本技術の特徴
1.酸化グラフェン(GO)による表面保護
GO分散液に窒化アルミニウム(AlN)粉を添加して吸着させた後、熱処理することで表面にGO層を有するAlN(GO-AlN)が生成(顕微ラマン分光、XPSで確認)。
2.耐水性
85℃/85%Rh環境下、2週間放置後も、粒子表面は変化がなく(Fig.1)、熱分析で検出されるレベルの水酸化アルミニウムは生成していない(Fig.2)。
KRIからのご提案/今後の展開/期待される成果など
●環境安定性のよい高熱伝導性フィラー
●粒子表面のGO層により、AlNの樹脂への分散性を改善
【特許出願中】