株式会社KRI(社長:成宮明)は、高分解能透過型電子顕微鏡(FE-TEM)によるナノ材料の構造解析サービスを行ってまいりましたが、今回新たに、TEMにComputer Tomography (CT)法を組み合わせた「3D-TEM1)」を用いたナノ構造の三次元形態観察、および構造解析に関する受託分析サービスを開始いたしました。
この3D-TEMによりナノ構造の立体形状を視覚的に把握できるだけでなく、三次元構造解析により得られた三次元情報の数値化が可能となります。この技術を応用することによって、材料開発で必須となる微細構造と材料が持つ性能との相関、さらにその発現機構の解明につながります。
背景
高分子材料はその歴史は浅いものの、昨今、異種高分子や無機充填物との複合化などのプロセスを用いたナノスケールの微細構造制御により、単体では発現しない物性や機能をもつ新規材料の開発が行われています。複数の成分から構成されるポリマーアロイ2)の一つに分子レベルで構成成分を制御したブロック共重合体があり、それは構成成分間に働く斥力相互作用により分子のスケール(約10〜100 nm)のナノ構造を自己形成します。
これらナノ構造は、我々の暮らしているマクロなスケールでの特性に直接関係するため、新規材料を開発するにはその構造を制御し、目的とする構造ができているかその形態を正確に把握し評価する必要があります。
三次元構造解析技術の特徴
弊社ではナノ構造の三次元形態を捉えることが可能な電子線トモグラフィ(3D-TEM)の技術と画像解析技術を組み合わせて、ブロック共重合体が形成するナノ構造の定量評価に成功しました。この技術を応用して、KRIでは下記のような材料分野の開発において、マクロな特性の発現を決定づけるナノ構造の評価を目的とした研究開発を募ることにしました。
●リチウムイオン二次電池のセパレータ膜や多孔質構造における空孔の連続性(貫通率)評価
●ナノコンポジット材料における充填粒子の形態や分布状態、配向状態評価
●燃料電池電極における金属触媒粒子の分布状態、埋没度評価