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2011.9.27

多機能TEMを活用したナノ構造解析技術サービスの開始

―プリセッション電子線回折による原子配列状態解析とナノ結晶方位解析―

 株式会社KRI(社長:成宮明)は、FE―EPMAなどナノ材料の微小部における構造解析技術を研究してまいりましたが、今回、最新機能を含む多種の機能を有した高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)を効果的に活用したナノレベルでの構造評価技術を確立し、依頼分析サービスを開始しました。
 特に、プリセッション電子線回折を用いると高精度の構造決定と数ナノレベルでの結晶方位解析が可能となり、金属無機原子の配列や多結晶の方位など数ナノレベルでの詳細な構造評価ができ、レアアースやレアメタルの材料開発にとって有用な情報を得ることが期待できます。

背景

 エネルギー・環境問題解決で期待される電池、磁石、触媒は、レアアースやレアメタルを基幹物質としています。これらの更なる性能向上や希少金属の低減化・代替化をめざした技術開発において、機能性発現メカニズムを明らかにすることが重要となってきており、ナノレベルでの構造評価が不可欠な状況であります。
 高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)分析法は、電子線をナノレベルで絞り超薄片化した試料に照射して、透過した像からナノ形態観察するものでありましたが、特性X線や散乱電子(電子線回折)パターンもあわせて取得し、ナノ領域での元素情報や結晶構造を解析することも普及してきております。

今回の解析技術の特徴

 6つの機能を有したTEM分析装置(分析電子顕微鏡)を用いて、形態だけでなく元素組成・結晶構造・電子状態まで、多面的にナノレベルで解析できる技術を確立しました。
 試料ステージやナノ電子線の角度を変えることができ、透過像の立体化や精度の良い回折パターンを得ることができます。試料ステージの角度変化においては、3次元構造観察が可能となり、ポリマー中のフィラー分布やデバイス内部構造分析が可能となります。また、ナノ電子線の角度可変による電子線回折測定はプリセッション電子線回折法と呼ばれており、国内の商用機器としては唯一のものです。この手法では、干渉などの問題で不正確であった電子線回折像の質を著しく向上させることができ、今まで困難であった高精度な原子配列状態解析ができると期待されます。また、多結晶を構成する各微結晶の方向性分布評価(結晶方位マッピング)にこの手法を応用すると、5nmという高い空間分解能で、従来に比べて高速にデータを取得することができます。

今後考えられる評価対象例

例1 金属ナノワイヤー・ナノ粒子の方位解析による結晶成長メカニズムの解明
例2 ナノコンポジット材料のフィラーの分布や粒界構造分析
例3 二次電池の充放電特性発現機構に関する活物質のナノ構造解析
例4 レアアース・レアメタルの回収ゼオライト中の金属吸着状態解析

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解析研究センター