NEDO技術開発機構は、委託先である株式会社KRI(社長:成宮 明、以下KRI)とともに、インドネシア共和国工業省と「省エネ・節水型繊維染色加工モデル事業」を進めて参りましたが、この度、11月8日に竣工式を開催し、実証運転を開始します。
本事業の効果として、エネルギーの約45%、水及び化学薬品の約39%の使用量削減が見込まれます。
目的と背景
NEDO技術開発機構が推進する「国際エネルギー消費効率化等モデル事業」は、エネルギー需要の増加しているアジア・太平洋地域の開発途上国等において、我が国の有する省エネ・代エネ技術の有効性を実証・普及することによりエネルギー消費量の削減を図り、もって我が国のエネルギーセキュリティに資する事を目的としています。
今回の事業対象であるインドネシアにおける繊維産業は我が国同様長い伝統と独特の技術を持ち、輸出額の10%(2005年)を占める主要産業であるとともに、製造業に占める業種別の事業所数では10%(2005年)、エネルギー消費割合でも、電力の21.6%、石油の22.7%(いずれも2004年)と、大きな位置を占めています。 しかし、繊維産業、とりわけ染色加工業はエネルギーと水を多量に消費する産業で、エネルギー消費量の削減が大きな課題となっています。さらに、近年、地下水汲み上げによる地盤沈下、大量の染色廃液の排出による河川等の汚濁進行の大きな要因になっています。
本事業は、上記を踏まえ、昨年2007年11月21日(水)にジャカルタにて締結された、インドネシア工業省 金属・機械・繊維・その他産業総局と、NEDO技術開発機構との間の基本協定書(MOU)に基くもので、インドネシア共和国内の繊維染色加工工場に、省エネルギー、節水型の染色機、乾燥機および皺取加工機を導入し、インドネシア共和国における同技術の有効性の実証、普及を図ることを目的としています。
事業経緯と期待される成果
平成18年度には、インドネシア工業省及びインドネシア繊維協会との協議により、同国内の複数の繊維染色加工工場にて実施可能性を調査し、モデル事業実施サイトを決定しました。データ測定の結果、エネルギーの約45%、水及び化学薬品の約39%の使用量削減が可能であることが判明しました。
平成19年度には、上記調査に基づき、省エネルギー及び節水の技術を有する染色機、乾燥機、テンター(幅出し仕上げ機)から構成される省エネ・節水型繊維染色加工モデル事業設備の詳細仕様を策定し、実際の設計・製作を設備メーカー*)に委託しました。
*)染色設備:株式会社日阪製作所(本社 大阪市、社長 村上 壽憲(としのり)) 後処理設備:株式会社ヒラノエンテック(本社 奈良県北葛城郡、社長 三浦 日出男)
平成20年度には、これらの装置をインドネシアへ輸送・据付し、現在試運転を進めています。11月8日に予定されている竣工式を経て実証運転を開始します。
今後は、実証運転によって省エネ・節水技術の効果と実用性を実証し、インドネシア政府が主催する技術セミナーや設備見学会等において技術と設備の有効性についての結果を報告するとともに、インドネシア国内への普及活動を行う予定です。
なお、NEDO技術開発機構並びにKRIは、過去タイにおいても「省エネ・節水型繊維染色加工モデル事業」を実施し、同国において普及の実績が上がっています。
[ご参考]
- 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)
- 事業内容: 日本の産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発及びその普及推進
所在地: 神奈川県川崎市幸区大宮町1310ミューザ川崎セントラルタワー16〜21F - 株式会社KRI
- 資本金: 3億円
事業内容: 受託研究、コンサルティング、分析評価
所在地: 大阪市中央区伏見町4-2-14 藤村大和生命ビル8F - 株式会社日阪製作所
- 資本金: 41億5千万円
事業内容: 産業機械製造販売
所在地: 大阪市中央区伏見町4-2-14 藤村大和生命ビル8F - 株式会社ヒラノエンテック
- 資本金: 3千万円
事業内容: 染色機械、機械部品等の製造販売
所在地: 奈良県北葛城郡河合町川合 101-1