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2003.3.25

導電性ナノ粒子と導電性ポリマーを複合化した新規な透明導電性材料の開発

  株式会社関西新技術研究所(KRI:社長 竹内正明)は、導電性ナノ粒子と導電性ポリマーのナノコンポジット化(ナノスケールで複合化すること)により、透明性を有する新規な導電性材料を開発しました。

  近年注目を浴びている導電性ポリマー(電気を通す高分子)は、電池や帯電防止シートのほか、表示装置に代表されるエレクトロニクス機器の部材など、様々な分野で応用展開がなされています。
  しかし、従来の材料は、透明性と加工性の両立は出来ても、透明性と導電性の向上や、加工性と導電性の向上が相反することなどから、その適用範囲は限定されていました。

  今回、KRIが開発した導電性材料は、透明導電膜の代表格であるITO(酸化インジウム)のナノ粒子と、導電性ポリマーの一つである可溶性のポリピロールをナノコンポジット化した透明導電材料です。当社は、これまでナノテクノロジー研究の一環として、各種ナノ粒子合成技術とナノ分散技術の検討を行っており、ITO、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、BaTiO3系誘電体、金・銀などの貴金属メタルなどの数−数10ナノメートルの均一粒子合成に成功しております。今回の材料は、この技術により、透明導電膜として一般的に液晶ディスプレイに使用されているITOがスパッタリングという手法で成膜されるため、その加工が簡便でない点や、高温加熱することから対象となる材料が限られる点を克服したものです。
  なお、この材料の主な特長は以下の通りです。

1.  塗布液として使用出来ることから、各種プラスチック製品など様々な箇所へのコーティングによる導電性付与、導電性添加材、透明性を維持したままの導電性付与が可能になります。また、曲面への加工が容易になることから適用出来る形状も多くなります。
2.  低温で加工できるため、プラスチックなど加工できる基板の種類が多くなります。
3.  通常、導電性ポリマーはいわゆる化学ドーピングを行いますが、ポリピロールに化学ドーピングをしなくても充分に導電性が得られることを確認しており、環境面への配慮も行われています。

  今後は、エレクトロニクス実装用導電シート、電磁波シールド材などの透明導電膜としての応用展開を目指し、サンプル供給、開発研究、基礎研究をマルチクライアント形式で進めていきます。具体的には、①主にテレビやPCのディスプレイ表面などに使用される帯電防止シートが該当する高抵抗領域(108Ω以上)のものに対してはサンプル提供を行い、②同じディスプレイに使用されている電磁波シールドなどが該当する中抵抗領域(104〜108Ω)のものについては、各クライアントの用途や目的に応じた開発研究を行います。また、③透明電極のような低抵抗領域(103Ω以下)のものに対しては基礎研究として取組んでいく予定です。

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スマートマテリアル研究センター(エネルギー)