株式会社 関西新技術研究所(KRI:社長 竹内正明)は、次世代無機・有機ハイブリッド材料として、600℃を超える高耐熱性や低誘電率などの新規な特性を持つシルセスキオキサンのジイン付加体について実用化を目指した研究開発に着手します。
今回、実用化に取り組む材料系は独立行政法人 産業技術総合研究所 グリーンプロセス研究ラボ(AIST:理事長 吉川弘之)で開発されたT8ジインを中心としたハイブリッド材料で、無機と有機の構造を併せ持った新しい素材です。これまで、KRIはAISTと共同で成膜プロセスや基本物性について研究を進めてきました。
T8ジインは、無機のカゴ形のシリカ骨格と有機の芳香族骨格を併せ持った分子構造を有しており、その特性は以下の通りです。
重量減少からみた耐熱性が空気中で600℃以上、不活性ガス中で1,000℃と、従来耐熱フィルムに使われているポリイミド樹脂(不活性ガス中:400℃)をはるかに超えている。
誘電率が2.6以下と低誘電特性を有する。
有機溶剤に可溶であるため通常の樹脂のように塗料化が可能である。また、形成された塗膜は透明かつ非常に硬い膜となる。
このような特性から、本材料を応用した製品として、超耐熱塗料の他、半導体層間絶縁膜や耐熱性基材、ハードコート材料などが考えられ、さまざまな用途展開が期待できます。
今後は、今年12月から半年の期間で、複数の企業を対象にしたマルチクライアントプロジェクトにてシルセスキオキサンのジイン付加体(T8ジイン含む)を広く普及させるためのサンプル提供の他、物性研究、合成研究、調査研究などを実施し、平成15年までの実用化を目指します。また、本研究の遂行に当たって、基礎研究の領域はAISTとKRIとの共同研究により行います。